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Newton 2024年8月号

Newton 2024年8月号

発売日:2024年06月26日

価格:1,190円(税込)

ページ数:144ページ

天体の動きに着目して暦がつくられた

私たちはふだん,1年や1か月,1日などという単位を使って時間を管理している。年や月,日などの単位を使って時間を数える方法を「暦(カレンダー)」という。暦は天体の動きに着目してつくられた。古代人は太陽の動きを観察し,季節の変化を把握した。そして約365日で一巡することを知り,それを1年と定めた。これが「太陽暦」である。

太陽のみかけの動きは,地球が太陽のまわりを公転していることによって生まれる。その公転周期は約365.25日だ。つまり,太陽暦と実際の天体の動きとの間には,1年に約0.25日のずれが生じていることになる。大きな影響はないと思うかもしれないが,120年もたつと,季節と暦は1か月ほどずれることになるのだ。

このずれを解消するために生まれたのが「うるう年」である。4年に一度,西暦が4で割り切れる年は,平年よりも1日多い366日と定められた。こうすることで,4年ごとの単位でみると,1年の長さは平均で365.25日となる。ただし,公転周期は厳密には約365.2422日であるため,1000年単位でみると,先述のルールでもずれが生じてしまう。そのため,2100年のように,4で割り切れる年であってもうるう年とならない場合もある。

「1日」と「1日の長さ」はどのように決まるのか

太陽は東からのぼり,南(南半球では北)を通り,西に沈むという動きをくりかえしている。そのため,地球上の多くの場所では,太陽が空にのぼっている昼間と,太陽が沈んだ夜が交互におとずれる。これはおもに地球の自転によってつくられる周期だ。1日とは,東からあらわれた太陽が西に沈み,ふたたび東にあらわれるまでの1周期だといえる。

1日の長さは,太陽が南中(北半球で太陽が最も高く上がること)してから次に南中するまでの間隔(これを太陽日とよぶ)をもとに定義できる。さらに,太陽が南中する時刻も季節に応じて変化するので,この間隔の平均値を1日の長さとすればより便利になる。この平均的な間隔は,1平均太陽日とよばれる。

現代に通じる1日24時間の定時法をつくったのは,古代ギリシャの天文学者ヒッパルコス(紀元前190年ごろ〜紀元前120年ごろ)だ。その後,エジプトのアレクサンドリアで活躍した天文学者プトレマイオス(83年ごろ〜168年ごろ)が,60進法で時間を表記した。この時代に1分,1秒を正確にはかれたかどうかはともかく,この時代に現代で使われる時刻の制度がつくられたのだ。

ただし,地球の自転速度は一定ではなく,実は1日の長さは長期的にも短期的にも変動している。長期的な変動の大きな要因は,「潮汐力」だ(下のイラスト)。潮汐力とは,大きさをもつ物体が天体からの重力の影響を受けて,変形する力だ。海の潮の満ち引きをおこすために,この名前がついている。地球に潮汐力をおよぼす主な天体は月だ。潮汐力によって地球の形が引きのばされる際,陸地よりも海水のほうが変形しやすいため,地球では潮の満ち引きが観測される。

この潮汐力による変形作用は,瞬時にはおこらず,かつ摩擦(潮汐摩擦とよぶ)によるエネルギー散逸をともなう。月が海水や地球を引きつける間にも地球は自転をつづけている。このため,地球から月に向かう方向と地球が変形する方向にずれが生じる。このずれをもどそうとする結果,地球の自転は減速する。

月がおよぼす重力は月に近いほど強くはたらくため,地球の形は引きのばされる。このとき,海水のほうが陸より変形しやすいため,潮の満ち引きとして観測される。潮汐による変形は潮汐摩擦をともない時間がかかる。このため変形する方向と月の方向にはずれが生じ,これをもどそうとして地球の自転は遅くなる。

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執筆:荒舩良孝