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Newton 2022年4月号

Newton 2022年4月号

発売日:2022年02月26日

価格:1,190円(税込)

ページ数:144ページ

※この記事は,Newton 2022年4月号に掲載したNewton Special「化学再入門」の抜粋です。

食べ物の味(基本味)には,甘味,塩味,酸味,苦味,うま味の5種類があります。「うま味」は1907年,池田菊苗(いけだきくなえ)博士(1864〜1936)が発見しました。池田博士は,昆布から抽出した「グルタミン酸ナトリウム」(「グルタミン酸」とナトリウムが結合した物質)が,うま味の元であることを発見したのです※。また,池田博士は企業と協力し,グルタミン酸ナトリウムを用いた調味料を開発しました。うま味調味料は日本の10大発明の一つといわれています。

うま味があるのは「L型」のグルタミン酸だけ

グルタミン酸には,L型とD型の2種類の構造があります。構成する原子の種類や数は同じでも,構造がことなる分子どうしをたがいに「異性体」といいます。とくに,グルタミン酸のL型とD型はおたがいの分子構造を鏡に映した関係にあり,「鏡像異性体」とよばれます(下のイラスト)。

鏡像異性体の関係にある二つの分子は,化学的・物理的性質はほぼ同じである一方,生物への影響などにはちがいもあります。たとえば,うま味があるのはL型のグルタミン酸ナトリウムだけで,D型にはありません。また,「メントール(ハッカ)」は,L型だけが歯みがき剤などの香料に利用されています。

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よく似ているのに性質がことなる「鏡像異性体」

L-グルタミン酸とD-グルタミン酸をえがきました。これらはたがいに鏡像の関係にあり,「鏡像異性体」とよびます。はじめて池田博士によって抽出されたL-グルタミン酸ナトリウムの結晶は今でも保管されており,2010年には日本化学会によって「第一回化学遺産」に認定されました。






 

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監修名:桜井 弘

京都薬科大学 名誉教授

執筆名:北原逸美