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Newton 2022年4月号

Newton 2022年4月号

発売日:2022年02月26日

価格:1,190円(税込)

ページ数:144ページ

「不斉合成」は安全な医薬品の開発に重要

普通に化学合成を行うと,鏡像異性体の関係にある分子はそれぞれ同じ量だけできます。鏡像異性体のうち,片方だけをねらって合成することを「不斉合成」といいます。

不斉合成は,たとえば安全な医薬品を開発するうえで重要な技術です。1957年に睡眠薬として発売された「サリドマイド」は,鏡像異性体のうち片方(R-サリドマイド)には睡眠薬の性質がありますが,もう片方(S-サリドマイド)には胎児に奇形をもたらす性質があります。このことが明らかにされないまま,鏡像異性体が混じり合った状態で薬が販売されたために,1960年代には世界中で薬害が発生してしまいました。

不斉合成には,それに適した触媒(不斉触媒)が欠かせません。日本の野依良治(のよりりょうじ)博士は,不斉水素化反応に有効な「有機金属触媒」を開発したことで,2001年にノーベル化学賞を受賞しました。さらに,2021年にノーベル化学賞を受賞したドイツの化学者ベンジャミン・リストとアメリカの化学者デビット・マクミランは,金属を含まず有機分子だけでできた「有機触媒」を開発しました。


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池田菊苗(1864〜1936)の肖像写真


注釈

  • ※:うま味をもたらす物質にはほかに,かつお節から抽出された「イノシン酸」(1913年発見)と,干しシイタケから抽出された「グアニル酸」(1957年発見)が知られています。
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監修名:桜井 弘

京都薬科大学 名誉教授

執筆名:北原逸美