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 Newton9月号増刊  半導体の未来

Newton9月号増刊 半導体の未来

発売日:2025年08月25日

価格:1,320円(税込)

ページ数:96ページ

※本記事は,2025年8月刊行の臨時増刊「半導体の未来」を再編集したものです。内容は刊行当時の情報に基づきます。

コロナ禍では半導体不足であらゆるものが品薄に

 半年足らずで株価が約8倍に――。

 2026年,半導体メーカーのキオクシアの株価が大きく上昇しました。背景にあるのは,生成AIの急速な普及による半導体需要の拡大です。実際,キオクシアと米サンディスクは8月,AIやデータ社会の需要拡大を見据え,2032年までに日本国内で約5兆円を投資すると発表しました。なぜ,半導体にこれほど巨額のお金が集まっているのでしょうか。

まず,「半導体」という言葉は,二つの意味で使われることがあります。まずは導体と絶縁体の中間的な電気の通しやすさ(電気抵抗)をもつ物質としての「半導体」です。そして,「(物質としての)半導体を使ってつくられた電子部品」,すなわち「半導体デバイス」のことを指して,「半導体」とよぶこともあります。ニュースなどで登場する「半導体」は,多くの場合,後者の電子部品の意味で使われています。上の写真は,薄いシリコンの円盤上につくられた半導体(半導体デバイス)です。 

半導体はあらゆる電子機器に使われており,現代社会にとって欠かせないものになっています。2020年ごろから,世界的な半導体不足が発生しました。半導体を使用するスマートフォンやパソコンの需要が高まったことや,新型コロナウイルスの感染拡大によって半導体製造工場の生産能力が低下したことなど,複合的な原因によるものでした。 

半導体の供給が需要にまったく追いつかない事態におちいった結果,私たちの生活にも大きな影響が生じました。スマートフォンやゲーム機が製造できず,品薄状態になりました。自動車も新車が製造できなくなり,納期が大幅に遅れました。給湯器が品薄状態になり,お湯が出なくなっても修理できないという困った状況も各地で発生しました。

半導体は産業の「米」あるいは「脳」

産業技術総合研究所 先端半導体研究センターの昌原明植(まさはら めいしょく)センター長は,「スマートフォンやパソコンのみならず,洗濯機や炊飯器,LED照明など,私たちの身のまわりにある“スマート”な製品にはもれなく半導体が使われています」と話します。半導体がなければ,私たちの便利な生活はなりたたないのです。

半導体は電気で動く幅広い製品に使用されるため,産業(経済活動)の基盤となる重要なものとして,「産業の米」とよばれることがあります。ちなみに1950年代なかばから70年代初頭にかけての高度経済成長期の日本では,「鉄鋼」が産業の米とよばれていました。その後,しだいに半導体が産業の米とよばれるようになりました。

また「現在の半導体は,AI(人工知能)やロボットなどの“スマート”な製品やサービスを動かすために不可欠であるため,『産業の脳』とよばれることもあります」(昌原センター長)。

半導体はなぜそれほど重要な物質になったのでしょうか。そもそも半導体とは,いったい何なのでしょうか。連載「今さら聞けない半導体」では,半導体の基礎から最先端技術,そして今後の進歩まで,今知っておくべき半導体の知識をわかりやすく紹介する記事を展開していきます。

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監修名:昌原明植

産業技術総合研究所先端半導体研究センター長

執筆名:福田伊佐央