ニュートン別冊 ノーベル賞110年の全記録
2001年のノーベル化学賞は,不可能といわれつづけてきた分子の左右形のつくり分けを実現した名古屋大学大学院の野依良治教授(肩書きは当時のもの)にあたえられた。日本人としては2年連続の受賞で,日本化学界の世界的な実力の高さが証明された。野依教授の研究は産業界にも大きな影響をあたえ,医薬品や香料,抗菌剤など,幅広い物質合成の工業化になくてはならない基盤技術となっている。
すばらしい研究がいかにして生まれたのか。野依教授の子供のころから,触媒BINAP金属化合物開発の経緯にいたるまで,幅広くお話をうかがった。
野依良治博士。理化学研究所理事長,名古屋大学特別教授。工学博士。兵庫県芦屋市生まれ。京都大学工学部工業化学科卒業。専門は有機化学。1980年に分子の鏡像異性体の一方を選択的に合成する画期的な触媒であるBINAP金属化合物を開発するなど,「不斉合成反応」に関する研究成果で,2001年,アメリカのウィリアム・ノールズ博士,バリー・シャープレス博士とともにノーベル化学賞を受賞した(安友康博/Newton Press)。