大阪大発ベンチャーのクオリプスがiPS細胞からつくった心筋シート=同社提供
iPS細胞を使った再生医療製品が29日、世界で初めて治療のために心不全患者に移植された。iPS細胞ができて20年、iPS治療は「研究」から「治療」の段階に移りつつある。従来の技術では難しかった病気の新たな治療として患者は期待する。だが、費用に見合った効果が得られるかなどの課題もある。
心筋梗塞で心不全に 医師「できることはない」
「できることがあれば全てやろうと思った」
大阪大発ベンチャーのクオリプスが開発したiPS細胞製品「リハート」。29日に移植を受けた神奈川県の50代女性は、手術前の取材にこう答えた。
2022年に外出先で息苦しくなり救急搬送された。心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈がつまる心筋梗塞(こうそく)による重い心不全と診断された。全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が弱くなった状態だ。心筋の一部は壊死(えし)状態になっていた。
歩くだけで息切れが出て、階段や坂道を上りきれず立ち止まってしまうこともあった。重いものを持つことや、長い時間動くことも難しかった。
進行を遅らせるため、薬で治療を続けていたが、原因となる病気を完全に治すことは難しく、医師からは「これ以上できることはない」と言われた。
そんなとき、iPS細胞から作…