長寿科学のイベントで「バイタリズム」について演説する米起業家のアダム・グリース氏=2026年5月14日、米バークリー、市野塊撮影
老化にあらがう長寿科学の研究が進み、そこに莫大(ばくだい)な資金が集まる。
5月中旬、米国のカリフォルニア州バークリーにある屋敷に研究者や投資家らが集った。イベントの目的は「死と闘うこと」。長寿科学に関する講演が目玉だった。
「死は人類の中心的な問題だ」
入り口には、こう書かれていた。スタッフのTシャツには「MORE LIFE(より長く生きる)」の文字。庭ではプロテインバーが配られ、血液検査を受ける人もいる。屋内ではヨガ体験をする姿もあった。
「バイタリズム」のイベントの会場でヨガをする参加者=2026年5月15日、米バークリー、市野塊撮影
このイベントで掲げられたのが、寿命を延ばすことをめざす思想「バイタリズム(生命主義)」だ。
バイタリズムとは
米起業家のアダム・グリース氏とネイサン・チェン氏が提唱し、2023年に財団を立ち上げた。
「老化や死と闘うことが、今、人類にとって最優先課題だと思う人は挙手を」。イベントでグリース氏が呼びかけると、一斉に手が挙がった。
「その根本的な原因を解決するために費やされている金額はごくわずかだ」と続けた。莫大な税金が高齢者の医療費に費やされているとも説明し、それよりも長寿科学に対する予算や投資を増やすべきだと訴えた。
「バイタリズム」のイベント会場でプロテインバーを配るブース=2026年5月14日、米バークリー、市野塊撮影
今回で2回目となるバイタリズムのイベントには、ハーバード大やスタンフォード大、米連邦政府の研究機関のほか、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が出資する企業アルトス・ラボなどの研究者らが名を連ねた。「世界最大かつ最も包括的な長寿科学イベント」(主催者)とする。
ビジネス目的で参加したという投資家の男性(52)だが、バイタリズムにも賛同する。「高齢になった親のことを考えると、老化を止める方法が生まれてほしいと願うようになった」と話す。
共感が広がる背景には何があるのか。
■影響力あるネットワークを 高…