※この記事は2026年12月号(10月26日発売)Newton Special「発酵はすごい」の記事の一部を抜粋したものです。
みそ汁で体を温め,納豆やたくあんとともに白米を口に運ぶ。昔ながらの日本の朝食の光景です。みそや納豆,たくあんは,どれも発酵食品です。発酵とは,目に見えない微生物のはたらきによって,たとえば糖からアルコールがつくられるように,ある物質から別の物質がつくられることです。
高温の豚骨スープの中で「古細菌」が発酵していた
2026年6月,昔ながらの豚骨ラーメンも発酵食品であることがわかりました\(^{\text{※}}\)。昔ながらの豚骨ラーメンは,鍋の中のスープを使いきらずに,毎日新しいスープをつぎ足してつくられます。九州産業大学生命科学部の米満宗明(よねみつ むねあき)教授らは,煮こまれるスープの中で,70〜95℃の高温を好む超好熱性の「古細菌」の一種が増殖し,独特の香り成分をつくっていることを発見しました。古細菌は,特殊な細胞膜をもつ微生物で,生物の生存がむずかしい熱水泉や塩田などの極限環境にも生息しています。超好熱性古細菌が発酵食品にかかわることが示されたのは世界初です。
※:https://doi.org/10.3136/nskkk.NSKKK-D-25-00049
監修:中島春紫
明治大学農学部教授
執筆:迫野貴大
編集部